雑記09_かつて夢を見た(かった)
オリンピックが世間を騒がしている。
事の是非はどうでもよい。個人的には誰がどの結果になろうとどんなメダルを幾つ得ようと大した興味がない。とはいえ、世の中が騒ぐのは分かるし、話題にあがればなんとなしに見た程度の話を合わせることもある。
消極的な関心のなさ、と評するのが正しいのだろう、と思っている。
ただし、である。
不意に目に入った新聞で、十代の選手が金メダルを取ったという。その競技について自体初めて知ったがめでたいことだ。そう思う。
同時に思う。
かつて、消費した青春に分類されるであろう日々特に高校生と呼ばれた頃についてを。
大したことはなさなかった。
勉学に打ち込んだ、という程、大成しなかった。
運動部にこそいたが、惰性で続けてたようなものだった。
友人はいたが、当時も今も、公私ともに、というような相手はついぞ得なかった。
なにより、得ようとした覚えがない。
三年も生きていながら、これといった記憶がとんとない。
その結果として、進学をし、今の職に就き、今の友人と付き合いを続けている。
はて、と考える。
あの日々はなんだったのか。
あの日々で得られたものはなんだったのか。
あの日々でなにか憧れ、欲しかったものはなんだったのか。
漠然となにかが欲しかった。
当然のように得ることはなかった。
死んだ子の歳を数えるが如く、忘れた頃に思い出す。
了